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88.機械的その1

先週出たばかりのマーク・リービー著『書きながら考えるとうまくいく』を読み、「プライベート・ライティング(以下PWと略す)」という言葉を知った。

PWは見せるための文章ではなく、純粋に自分のためだけに書くことを意味している。だからまとまりなどなくてもよいし、他人にとっては意味不明であってもよい。そういう意味でブログはプライベートではない。自分ではプライベートだと思っていても、やはりそこには他人の目をつねに意識しているところがある。その点、PWはむしろ自動書記に近く、無意識領域の赤裸な記録ともいえるであろう。

自分のやりたいこと、悩み事など、モヤモヤと考えているよりは、まず書き出してみる。意識は指先より圧倒的に高速だから、ゆっくり書いていては周回遅れになってしまう。書き殴りでもいいからとにかく速く書く。すると自分でも驚くほどのアイデアが量産されるという。もちろん、その中にはゴミ以下のものも混入しているであろう。だが、PWはもともと誰に見られるものでもないので、恥ずかしがることはまったくない。

著者はさらに、長くても数十分の時限設定を推奨している。PWは思考の全力疾走を要求するので、ゴールを明確にすれば途中息切れすることがない。一気呵成に書き上げることができる。ここで、ふと思い出すのがイギリスの小説家アンソニー・トロロープの仕事ぶりである。

トロロープは十九歳のときに郵便局に入り、三十三年勤務した。三十二歳から小説を書き出し、はじめは失敗作ばかりであったが、それにもめげず、四十歳のときにヒットを出し、六十七歳で死ぬまでに長編小説五十四篇を出版した。.......毎朝五時半に起床して、二時間半書く。平均速度は十五分間二百五十字。だから一冊の本を書き上げるのに何日かかるかも計算できた。彼は後に巡回郵便監督官として方々まわって歩いたが、旅先のホテルでも船の中でも、朝飯前の二時間半は、とにかく機械的に小説を書いた。......あまりにも機械的な書き方を公表したため、トロロープは死語しばらくは人気が落ちたが、小説の質が良かったために間もなく復活し、二、三年前にはアメリカで彼の小説の一つがテレビ化されたこともあってベストセラーにランクされ、彼の他の小説までペーパーバックで多く出た。出るやたちまち売り切れの店が続出したという。

渡辺昇一著『続・知的生活の方法』講談社現代新書

トロロープのように「機械的に作業する」ことこそ、心理学者チクセントミハイが提示した「フロー状態」という、高度に集中的な、内省的な時間を迎える正門なのではないか。そういう意味で創造的行為というのは、単に習慣の問題にすぎない。一瞬の閃きや感興と呼ばれるものも、ルーチンワークから自然に産出されるものなのである。.....(続く)(2004.02.15記)

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