大人は、意味もなく、子供を、「えらい、えらい」とほめたたえるのが、子供のぼくには不愉快だった。(中略)
ただひとつ、正直に大人たちが「えらい」とおもっているな、と感じたのは、子供のぼくが、なにかを作り出したときだった。道路を滑走する飛行機や一人乗りボードを、近所の八百屋に貰った木箱からつくったりするだけで大人は本気で感心するのだった。
デザイナーや建築家になった人間の子供時代は、きっと、こんなふうに絵や工作で周囲の目を引いて育ったという点で、似たようなものなのだろう。
これがいけない、と、今、大人になってつくづくおもう。
「つくる人」はずっと甘やかされてきたのだ。つくることは、無条件でえらいこととみなされてきた。その意味をまるで理解していない大人たちに。
森本 武『負のデザイン』JDC





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