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いい湯だな

p1000863.gif「あのう...フロさ入っていいですか」

白血球も3ケタにのったことだし、もういいっしょ。頼むから入らしてくれ! 入らせろ!

「ああ? いいんじゃない?」

なんと、医師のあっさりOKが出た。ホントにいいのか? 入っちゃっていいのか?

看護師がすかさず釘を刺す。

「narajinさんは"白血球の低い方"の時間さ入らねばまいね。あど腰から上は湯船さつかればまいね!」

翌日、朝食をすませ、速効でナース・コールした。

「フロさ入るはんで、点滴はずしてけろ!」

もう余裕もなにもあったもんではない。20日ぶりの「オフロ」なのである。毎日銭湯で一汗流していた風流人のこのわしがである。

血液内科病棟のオフロには「白血球が低い方優先」の時間帯というのがある。つまりは朝イチのこと。まだ湯船に垢など浮いていない、一番ブロをあずかる栄誉が「低い方」に与えられるのである。わしみたいな無菌室のイヌ人間は、なかでも最優先されるべきVIPな存在なのだ。

「おい、そこの糖尿野郎! おまえらは残り湯でいいんじゃ! いまはオレたち白血病のシマなんじゃ!」(言えないけど)

9時になるのを待ちきれず、フライング気味にダッシュかけたおかげで一番のり! イッツ・ショータ〜イム♪

フンフンとご機嫌にカラダを洗いはじめたが、やってもやってもアカが出てくる。キリがないのでやめてしまった。

ついに念願の湯船につかる。半身浴だけど。ああ〜、これだよこれ! 生きてるってすばらしい!

「いつもトイレでお会いしてますね」

個室のJさんが後から入ってきた。おいおい、点滴つけたままフロかよ! しかも抗ガン剤入れてる途中に。

「シャワー浴びるだけで、気分ちがうからね」

そうだ。オフロの権利はみずから勝ち取るモノなのだ。看護師にうかがいを立てているようじゃダメなんだ。大部屋のSさんなんか、白血球500で平然とフロに入っていたではないか。しかしみんなグレートだよなあ。先輩たちには学ぶところ大である。

部屋にもどってタオルで髪をふいていたら、ついに、ついにアレがきてしまった...

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