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見本市

今日からまた化学療法をはじめることになった。例のファンタオレンジ(イダマイシン)が何食わぬ顔をして点滴台にぶらさがっている。伴奏はまたしてもキロサイド。前回、車椅子と尿器の屈辱を受けることになったのはすべてコイツのせいである。

スケジュールは以下の通り。

イダマイシン:30分×3日
キロサイド:24h×7日
カイトリル:点滴注×7日

末尾の「カイトリル」は制吐剤のことで、脳内の吐き気中枢を麻痺させる作用がある。これを入れないと一日中ゲロしまくることになるらしい。制吐剤がまだなかった時代の患者さんたちは、さぞかしご苦労されたことであろう。

なぜだか相部屋のみんなと治療スケジュールが重なり、今日はちょっとした「点滴祭り」になっている。悪性リンパ腫、脳腫瘍、急性骨髄性白血病と、蒼々たる肩書きの持ち主がそろいぶみの部屋だけに、点滴台のうえに咲いた「抗ガン剤見本市」といったところである。はす向かいはクリムゾンレッド、こっちはオレンジ、むこうはスケルトン。

先日のシーツ交換のとき、看護師さんが仕切りカーテンを全開にしたまま去っていったのがきっかけで、日中はカーテンを開けっ放しにしようという案が全員一致により可決された。廊下側のベッドにも光が届くようになり、部屋全体が明るく広びろに。ベッドをはさんでの会話もはずむし、いいことずくめである。

しかし、思わぬ副作用があった。ハゲ集団が戸口から丸見えになったせいか、迎えに来た姉は「うおっ」っと一瞬フリーズ。こんどは病衣でなく、袈裟か作務衣でも着てみようか。全員アフロというのはどうか。

先週末は治療前ラストの一時帰宅。戻る日になってやっと雨があがり、陽射しがのぞいたこともあり、いそいで紀伊國屋書店にかけこんだ。

1.神谷美恵子コレクション『本、そして人』みすず書房
2.セネカ『人生の短さについて』岩波文庫
3.『山川世界史総合図録』山川出版社

毎日の白血球の値にあわせ、世界史でも勉強してみようかと思って購入したのが3。これはかなりオススメ。たった743円ながら、フルカラーでしかも図版が豊富。マップやチャートも随所に工夫がみられ、まさにエディトリアルデザインのお手本といった出来である。

ちかごろまたストア哲学に惚れ直しているので2を購入。人生に残された時間、必ずやってくる死というものについて、情け容赦のない言葉が綴られていく。現実をありのままクールに見定めること。受け入れること。この世における自分の義務を英雄的に果たすこと。セネカの後、ストア哲学は奴隷のエピクテトス、ローマ皇帝マルクス・アウレーリウスという好対照を手に入れ、境遇に左右されぬ平安(アタラクシア)がたしかに存在することを実地で証明してみせた。

7月24日の採血
WBC:2100
HGB:8.7
PLT:18万7000

血小板の値がとんでもない。入院前は5000円しかなかったのに、ふとポケットに手を入れてみたら18万7000円になっていた、というかんじだ。「難反応」どころか、奏功したと医師たちも認めざるをえまい。

白血球クン、ヘモグロビンちゃん、血小板さん。みんなせっかくこの世に生をうけたのに、今日からまたブチ殺されてしまうんだね。合掌。

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