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自由な読書の象徴としての電子ルリユール

...特に、フランスの文化圏では、仮綴じ本の歴史が長く続き、「ルリユール」という言葉がフランス語であることが示しているように、独特の文化を発達させました。

日本で「装丁」というと、デザイナーがデザインしたものを、本を量産する製造工程の中で組み込む、ということになるわけですが、ここでいう「ルリユール」には、仮綴じ本を分解し、綴りなおして表紙を付けるという作業が含まれています。

フランスで仮綴じ本が販売され続けたのは、印刷と製本との兼業を禁じた法律の副産物ということですが、結果として、実用品としてのルリユールを浸透させることにつながりました。現在の日本でも、ルリユール作品というと「総革張り金箔押し」といったイメージがありますが、この形態も、仮綴じ本を装丁するという長い伝統の中で定着してきたものです。

...今後、電子本の製本や装丁は、紙の本とは逆の方向で発展するのではないか、すなわち、量産から一点制作へと移行していくのではないかと思われます。

たとえば、T-Timeで制作するTTZというファイル形式は、いわば「仮綴じ本」に近いものです。紙の本では、仮綴じ本といえども、使っている紙や文字のサイズまでは変えられませんが、TTZの場合は、フォントや文字サイズ、字間や行間、本のサイズまで自在に変えることが可能となりました。

「電子ルリユール」は、作品の選択から背景画像の作成に至るまで、本全体をトータルでとらえたものであり、その意味では、紙の本のルリユールよりも、さらに本作りの原点に近いものであるとも言えそうです。

そして、もうひとつのメリットは、本そのものに加え、道具の入手も簡単で、費用もさほどかからず、場所もとらないことでしょう。パソコン1台で、写真集から文学全集まで、あらゆる種類の本を作れることは、大きな魅力です。

権力や財力の象徴として発達したルリユールから、自由な読書の象徴としてのルリユールへ。

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