「レッツ・クール・ワン」(セロニアス・モンク)
山下:こんなスリリングさって、いまだにありますもんね。面白いよジャズっていうのは。これだけ聴いても...
坂本:夜中にね、ジャムセッションしてて、こういうのも、一種の伝統芸みたいに、やめちゃったり。"せーの!"で入るときに。そういうのあったでしょうね。
山下:あったんでしょうね。一人ひとりがみんなやったのかも。
坂本:すごいことを想像させるような演奏ですね。おもしろいね。
大谷:ドラムがロイ・ヘインズですね。まだ現役だというのがすごいですね...
山下:ブルーノートでやってたんだけどね、若手といっしょにやってて。自分リーダーで。フォー・ヴァースをやるんですよ。かっこいいフォー・ヴァースをやってるうちに、なんかドラムソロになって、そのまま、ズドン!と終わっちゃった(笑)。
坂本:終わっちゃった(笑)。
山下:みんな大喜び。それも即興といいますか、ハプニングといいますか、わかんなくなっちゃったのか(笑)、意図的な美意識なのかっていうんでこれは未だにわかりませんがね。でもかっこいいなと思ってマネしようかと思いましたよ。ドラムソロの途中でやめちゃえ、ってズドン!って。
大谷:もどらなかったんですね。
山下:ふつうはフォー・ヴァースやってドラムソロやったら、なんかも合図でみんなもどって、テーマやって終わるよね。いきなり自分で終わっちゃった。
坂本:それくらい自在に、生きられたと(笑)。
山下:生きられたんですね(笑)。
大谷:八十超えると(笑)。
山下:やっぱりニューヨークとかおもしろいですよね。ジャズクラブ行くとそういうの見られるんだもん。かならず結末つけなきゃいけないなとか、終わったらメンバーが慌てふためいてソロ吹き出すとか、そういうのいっさいない。みんなでニコニコ笑って、ああ終わっちゃった、って(笑)。信頼感ですね。ジャズとはそういうもんだって思ってるんですね。
マイク2本のワンポイント録音だった
大谷:このアルバムもそうなんですけど、ライブハウス録音で、お客さんの音がたくさん入っているアンビエンスなかんじが、最初ぼくモダンジャズ聴いたときに、そんなの聴いたことがなかったんで、ワザと混ぜてるのかと思ってたんですけど、ホントにかっこいいな、と。たとえばマイルス・デイビスの「リラクシン」で会話がはいったりとか、ドキュメント性みたいのも非常に魅力だと思うんですが、その生なかんじ、ロウなかんじが...
坂本:このころの録音ってどうだったんだろうね。
大谷:マイク2本じゃないですかね。
山下:ぜんぶヴァン・ゲルダーでしょ?
大谷:ここヴァン・ゲルダーですね。完全に。プレスティッジのやつは...
山下:これ(注:フェーダー)やってるんだよね? 聴きながら。
大谷:調整してはいるんですが、たぶんピアノにもマイク立ってないと思う...
坂本:立ってないですよね。たぶん上から2本...
大谷:三本かもしれない...
坂本:ソロ楽器のとこにあるかな。ちょっとオンになってるから...
大谷:基本的にはぜんぶ入っちゃうっていう...
坂本:だからもうバーのほうで何か洗ったりしている雑音とかもゴチャゴチャにはいってるもんね。




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