モモ「灰色の男たちは、いったいどうしてあんなに灰色の顔をしているの?」
ホラ「死んだもので、いのちをつないでいるからだよ。おまえも知っているだろう、彼らは人間の時間をぬすんで生きている。しかしこの時間は、ほんとうの持ち主から切りはなされると、文字どおり死んでしまうのだ。人間というものは、ひとりひとりがそれぞれの自分の時間を持っている。そしてこの時間は、ほんとうに自分のものであるあいだだけ、生きた時間でいられるのだよ」
モモ「じゃあ灰色の男は、人間じゃないの?」
ホラ「ほんとうはいないはずのものだ」
灰色の男たちは、不正な貨幣システムの受益者にすぎない。その貨幣システムは、本来、人間にそなわっているものでなく、自然界の外にあって、貨幣を〈凍結〉させる機能をもつものである。
モモ「もし時間をぬすむことができなくなったら、どうなるの?」
ホラ「そうしたら、もとの無に帰って、消滅してしまう」
...自然に適合した貨幣システムが実現して、灰色の金利生活者たちが利子を通じて人間から時間を盗むことができなくなってしまえば、彼らは、人間存在としてではなく、不正なシステムの受益者として、"安楽死"(ケインズ)を受け入れなければならない。(P47-48)
『エンデの遺言 根源からお金を問うこと 』 NHK出版




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