ATMがけっこう並んでいる。待ちながらキョロキョロしていると「オレオレ詐欺ご注意」の貼り紙があった。
「野球帽にマスクをして、ATMの前でキョロキョロしている人物を見かけたら...」
貼り紙に描かれた"出し子"のイラストは、なんとも見事にオレであった。周囲の視線もなんとなくオレにむいているような気がしてきた。
免疫抑制剤をいれたニンゲンはUVに弱い。だからつばの長い野球帽は具合がいいのだ。そして感染予防のためのマスク。市販品をいくつも吟味し、なるべくメガネが曇らないものを選ぶ。そして長袖のシャツ。素肌を出すと炎症になりやすいので夏場もこれで通す。人間観察(とくに女の子)で常時キョロキョロしているし、ぼくのばあい手袋(爪が剥がれて出血する)が追加されるものだから、出し子よりよっぽど怪しい。
血液内科外来はオレオレだらけ。病棟はハゲの禅僧だらけ。聖と俗の振れ幅がこんなに大きい病気もほかにはあるまい。
この話を美容院でしてみたら、「オレオレに見えないようにしてあげる」と女性店員にいわれ、ボタンダウンのボタンをはずして襟とかちょっと立てたりして若者風にサワヤカ風にしてくれた。でもやっぱり野球帽にメガネマスクだからオレオレ度はすえおき、むしろ下っぱ度だけ増幅したといえよう。
ちなみにこのコは髪もちゃんと今っぽく起たせてくれたのであるが家に帰って鏡をみたら野球帽でペシャンコ、オードリーの春日になっていた。
このままでは全国の白血病者がえん罪被害に遭い、人権問題にまで発展するのではないかとぼくは憂慮するものであります。




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