人生でいちばん大切な資源は「時間」だ。年を重ねるごとに、そんなふうに痛感している。すると、なるべく時間を節約するようになる。朝は出かける準備をしながらメールチェック、移動は小走りで、と。だからこそ最近、スゴイと思ったものがある。それは、音楽。特に「生演奏」だ。ことしで8回目を迎える国際的なジャズフェスティバル「東京JAZZ」の会場から、先日、約11時間のFMラジオ生放送を出した。進行とバックステージ・インタビューを担当したので、一日会場で生演奏を聴いた。
11時間という時間は、なかなか量感がある。体力も使うし、食事も2回くらいとらないともたない。でも、たくさん音楽を放送するには、時間がかかるのだ。そう、音楽は時間とともにある芸術。だって、生演奏は当然早送りすることはないし、「かいつまんであらすじを教えて」という世界でもない。特にジャズの即興演奏となると、次にどんなフレーズが飛び出してくるのか、みな息をのむように中止深く聴く。感激を求めて。
わたし自身、一日の最後、世界的ドラマー、スティーヴ・ガッドのメロディアスな音色を舞台袖で聴いたとき、ふいに目頭が熱くなり、11時間の疲れが吹き飛ぶほどの感動がこみ上げた。これだから、やめられん。時間がかかるのに、人はメロディーや音色の体感を求め、生演奏に酔いしれるのだ。あぁ、これからもわたし、時間を生演奏につぎ込んじゃうんだろうな......。
住吉美紀アナウンサー「リレーコラム ここだけの話」
『ステラ 2009 9/26-10/2』P38




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