先月から視覚障害者パソコン講習会に通っています。
場所は八幡町にある身体障害者福祉センター。日曜日の10時から3時まで。月2回ほど。入院中に外泊を利用して参加したのがきっかけですけど、行くとなぜだか気分がなごむので、どっちかというと休養として通っている感じです。青森のねむのき会館よりいらした講師さんやここで知り合った弱視の友人と話したり、メールのやりとりもするようになりました。みんな変な気取りとか見栄のない方々なんで気が楽だ
ぼくは高知システムのスクリーンリーダーであるPC-Talkerを中心に、音声ブラウザのNetReader、電子図書リーダーのMybook、ワープロのMyWordなどなどの使い方を学んでいます。ぜんぶ揃えると十万を軽く超えるので、こうしてタダでいじれるのは助かる。講師の方々も自分では持ってないそうです
講習会の基本ソフトということもあり、県内の視覚障害者はまず100%、高知システムのアプリを使っていると考えてよいでしょう。ホームページリーダーのユーザもいないことはないのですが、開発を終了したという噂もあり高知システムに乗り換えしているようです。
携帯でのネット利用はまだ普及してない印象ですけど、音声ガイド付の携帯やスマートフォンがもっと普及すればいずれパソコンを追い越すのではないでしょうか。全国の統計資料でも、「らくらくホン」がロービジョンのあいだで圧倒的なシェアを獲得するなど、アクセシブルであることが売りになってきたことは確かです。今後、障害者だけでなく、高齢者もふくめたロービジョン市場というものが立ちあがりそうな予感がします。
いずれせよ、キーワードは「VOICE」。弱視であれ、全盲であれ、晴眼者、外国人であれ、どの人にとっても音声での案内や操作は便利ですから。なんぼかは画面が読めるという弱視の友だちも、内容の詳しいとところはやはり音声で確認すると話してました。IBMフェローシップの浅川 智恵子さんも「ボイスポータル」の開発に的を絞ったようですし、これは国際的な市場を意識したばあいそうならざるをえないでしょう。今後大きな市場が見こめるインドや東南アジアといったアジア諸国は、ご存じのとおり複雑な言語事情をかかえているため、識字率を上げるよりも、音声認識などの技術を使ってコミュニケーションするほうが現実的だからです
音楽やラジオ、朗読を例にとってもわかる通り、人の声というものは印象に残りやすく、書籍よりもある点では教材に適していると思います。勝間和代さんもブログ「CD、テープを聴いて勉強しよう!!」で、音声学習を勧めていますが、現代のオフィスワーカーは仕事の内容からいっても眼精疲労を避けて通れないぶん、これからはオーラルな能力開発・生涯学習がより重要度を増すでしょう。
むかし神田のタトル商会に行ったとき、ペーパーバックの新刊の隣に必ずオーディオブックも併売されていて日本の出版事情との違いを実感しました。多民族、多人種をかかえるアメリカ、イギリスなどでは、日本より識字率が低い分だけ、逆にオーディオブックのコンテンツがアナログの時代から充実しているのです。ベストセラー本を音で聴けるAudibleのようなサービスがネット上にすぐ立ちあがるのもそういう下地があったからといえます。
日本はヘタに識字率が高く、かつ「読み書きソロバン」といった視覚偏重型の教育を長い間やってきた結果、耳を使った学習に疎いままネット時代に突入してしまった。今の中学生、高校生を見ても英語がとにかくできない。もっと感覚的、直感的な学びという非論理的な学習スタイルをもっと教育の現場に取り入れるべきではないでしょうか。

講習会で実際に音でネットサーフィンしたり、PDFや青空文庫やニュースを読み上げてもらうと、これは障害者でなく誰にとっても便利だとすぐ直感します。写真はnarajin.netを音声ブラウザで表示しているところ。弱視用に背景色と文字サイズを変えることができます。自分のブログをこうして見たのははじめてだ。iPhoneもiBookも、今後どれだけ日本語の読み上げに対応するかが一番注目したいところ。
高知システムのアプリが高額で機能的にも問題があるのになぜ人気かというと、操作がシンプルだから。どれもESCキー、TABキー、Shiftキー、リターンキーさえ押してればなんとかなる。特に「Mybook」というアプリは、オーディオCD、青空文庫、サピエ図書館、デイジー図書など、あらゆる電子媒体を同じ操作方法で聴くことができ、一発で気に入りました。サピエには「1Q84」などもアップされており、けっこう充実した読書環境が揃いつつあるなという印象でした。サピエ図書館の「ダウンロードトップ100」にはエッチなタイトルがずらりと並んでおり、利用者の素顔がのぞいておもしろい。
講習会では、キーボードからの点字入力(6点入力)や、MS Officeの音声による操作なども教えてました。講師の声をテープレコーダーに録音しながら勉強している方もいらして、やはり人の声というのは、ありがたく、また心地いいものだと実感しました。
実はまえから朗読ボランティアにすごい興味があって。音楽療法や、患者会の活動、障害福祉などの別なく、何か楽しいことできないかとまた悪だくみしてます。いずれにしても、「声」「耳」「音」を活かしたボランティアというのがどうも自分には性に合っているようです。
8月の講習会は1日、8日の予定。次回は6点漢字入力の世界を学習の予定。
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