シュラバナベルゴラ:Shravana Belgola
カルナータカ州のシュラバナベルゴラは空衣派の聖地として知られている。インドラギリの頂きにそびえたつゴーマティーシュヴァラの像は、一枚岩の石像のなかで世界一の高さを誇るという。この「きおつけ」ポーズは、カヨトサーガといって、完全なる自己放棄をあらわす。
石像の起源は、西暦981年にさかのぼる。クシュマンディーニという神のお告げにしたがい、ガンガ朝ナラシンハ王の臣下、チャムンダラヤがインドラギリに矢を射ぬくと、そこにゴーマティシュヴァラの像がたちあらわれたのだという。
それから千年のあいだ、この地では大灌頂祭がおこなわれている。ジャイナ歴にしたがい、12〜14年に一回だけ開催されるという歴史的行事だ。ポスターがインドじゅうに配布され、遠く国外からもジャイナたちがシュラバナベルゴラに集まってくる。
祭りのハイライトは、アビシェカといわれる聖浴の儀式だ。ミルクや、ターメリック、びゃくだん、紫たんを像のてっぺんから、ジャイナがこぞってザバーっとかけまくる。赤、黄、白と、つぎつぎに色彩の衣をまとっていくゴーマティシュヴァラは、霊魂の洗濯を実演してみせているのかもしれない。千年たった今でも、彼の石肌は赤子のようにつややかだった。
ゴーマティーシュヴァラは祖師ではないが、ジャイン・ダルマにもとづき解脱にいたった最初の修行者として、ひろく南インドで慕われている。キリスト教なら聖フランチェスコというところだ。