シュラバナベルゴラ :空衣派の僧侶

空衣派の僧侶

 イスラム勢力のインド侵攻以来、裸形の僧侶たちは衣服をまとうことを余儀なくされてきた。

しかしシュラバナベルゴラにおいては裸形僧がいまだ健在であり、古代のままの伝統に直に接することのできる数少ないの聖地のひとつとなっている。

 この写真は、ジャインマート(学院)のボスとでもいうべきマハラジにお会いしたときのものである。

 案内してくれた僧侶は、まず払子(ほっす)で床をていねいに払ってから座した。もちろん虫を踏んづけて殺生を犯すことのないようにである(いくぶん儀礼的ではあったが)。つづいて「ナマストゥ、ナマストゥ、ナマストゥ」と三回くりかえし、合掌したままで、床におでこをペタリとくっつけた。

 こちらもマネをして、床とおでこをキスさせた。もっと深くである、といさめる僧侶に、いいからいいから、とおおらかなマハラジ。まわりの小坊主たちはそれを見て笑っている。それにもこりず、私はおそるおそるマハラジの足の裏にさわらせてもらうことにした。

 ここジャインマートでは、僧侶たちの身辺を世話を女性たちがすべてまかなっている。急須のバケモノのようなポットいっぱいを、白湯でみたしておくのも彼女たちの役目だ。

 ジャイナの僧は生水を飲まない。水中のバクテリアを飲んでしまうと、殺生を犯すことになるからである。ただの漉し水だと、48分後にはバクテリアがわいてしまう。しかし漉してからさらに煮沸すると12時間は平気だという。僧侶たちはこれを飲み水にするほか、足や手を清めるのにも使用するそうである。