Tangerine Dream, Edgar Froese

Kamikaze 1989

Tangerine Dream, Edgar Froese

かみかぜ198982年ソロ作。確か浪人中に仙台のレコ屋で発見、ジャケ一見でスルーした記憶がある。予備校生の乏しい小遣いではこの怪しいブツに投資する勇気はなかった。フローゼ本人が映画に出た低予算映画だと本気で勘違いしていた。

見たとおりB級感満載のジャケだが中身はさすが黄金期。王道エレクトロとしてあと3年は品質保証できる。この時期のフローゼは何をどうやってもいい出来になる音工法を確立。サントラとして葬るにはもったいない気持ちよさだ。

80年代初期シンセの音色をたっぷり封入、次作「Pinnacles」ほどあからさまなエスニック感がなくサイバーに仕上がっている。

これが気に入った方は、同じくサントラ盤の「Thief」(1981) 「Flashpoint」(1884)もぜひ。もしジャケで購入をためらっているのならどれも自信をもっておすすめする。

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Pinnacles

Tangerine Dream, Edgar Froese

pinnacles.pngPinnacles 
1983年のソロ第6作目。79年発表の「Stantman」で何かをつかんだフローゼはその後TDで充実した作品を量産、しばらくバンド活動に専念するが、個人名義では唯一のサントラ「KAMIKAZE 1989」を82年にリリース、翌年には彼のソロ活動の決算ともいうべき本作をだす

同年の「Hyperborea」と同じく、ドローンやペンタトニックといった、非西欧的なモードにシーケンスをからめていくという必勝パターンで最後まで押しとおす。エスニックサウンドを当時かなり聴きこんでいだであろうフローゼの研究成果といえるものだ

音を重ねすぎないスカスカ感も適度にあって、27年前の作品とはにわかに信じがたい今日性がある。エレクトロの新作だといって覆面リリースしてもじゅうぶんいける音だ

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80年代TDサウンドの核 PPG

Tangerine Dream, Edgar Froese

ppg_wave2.2_large.png
孤高のカスタム・シンセ
中学のころタンジェリン・ドリームの「EXIT」をはじめて聴いたときまず思ったのは、「音そのものがなんか違う」だった。クラフトワークでもYMOでもない、タンジェリンでしか味わえない音。それがカスタム・シンセ「PPG」に依るところ大だったと知ったのはインターネット時代になってから。30年前すでにPPGを操っていたのは、おそらくタンジェリン・ドリームだけだったのではないか

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Exit

Tangerine Dream, Edgar Froese

exit.jpgEXIT 

ポップを偽装したハード・エレクトロ
81年。通算16作目(ベストをのぞく)。暗い。救いようがなく暗い。まさに出口なしである。ヨハネス・シュメーリンク加入後のタンジェリンは、透き通るような見晴らしの良さが特徴だが、EXITだけは別だ。

外見はポップを装っても実体はハード・エレクトロであり、当時の息苦しさというか、欧州各国の閉塞感を見事にスナップした架空のサウンドトラック集といえる。考えてみれば東西ドイツ統一、ソ連崩壊の十年も前の作品だ。東西ベルリンに垂れ籠める暗黒の霧のようである

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Hyperborea

Tangerine Dream, Edgar Froese

hyperborea.jpgHyperborea(流氷の詩) 
永遠に太陽の沈まない常春の楽園、Hyperborea。極北の理想郷を古代ギリシア人はこう呼んでいた。白夜現象が異邦人を介してすでに伝播していたのかもしれない。Monique Froeseの手によるカヴァーデザインもおそらくこの神話をモチーフにしている。

「Logos」と「Poland」という二つのライブアルバムの狭間に位置する本作であるが、80年以降のTDはライブ盤とスタジオ盤との差がほとんどなくなり、単に拍手や歓声の有無くらいのものになっていく。クラフトワークとおなじく、TDもライブにそのまま持ちこめるスタジオ環境を整備しはじめた時期ではなかっただろうか

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Tangram

German Rock

Tangerine Dream, Edgar Froese

td-tangram.pngTangram 
ラジオでもしタンジェリンの音楽がかかたっとしても、誰かにとっては会話の下敷きでしかないわけだし、僕にとってはまだ十分実験的とは言えない。ラララ〜♪というのが好きな人たちのものさ。(コンラート・シュニッツラー

「僕は今のタンジェリンの音楽、そしてショウより、前の方がずうっと好きだったと言わなきゃならない。彼らは今、昔のようにオリジナルな音楽ではないことをやり始めたから。タンジェリン・ドリームがタンジェリン・ドリームをコピーしているなんて、おかしいと思わない? 彼らの初期のコンサートには全く肝をつぶしたよ。それは今までフランスで行われた電子音楽のコンサートの中で、最も素晴らしいもののひとつだった。14世紀に立てたれた大きなカテドラルで行われたんだけど、そこで五百人の人々は、まだ無名だったタンジェリン・ドリームのサウンドを聴いたんだ。全くファンタスティックだったよ。タンジェリン・ドリームは、音楽に大改革を起こしたと思うんだ。(ティム・ブレイク

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Pergamon

German Rock

Tangerine Dream, Edgar Froese

td-pergamon.pngPergamon 
1980年1月31日、東ベルリン公民会館で行われた新生タンジェリン・ドリームの皮切り事始めライブ。死体同然だった当時のタンジェリンをみごと復活させ、第二の人生を歩ませることに尽力した"第三の男"、ヨハネス・シュメーリンクが正式にクレジットされたのもこの作品からである。

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White Eagle

German Rock

Tangerine Dream, Edgar Froese

td-white.pngWhite Eagle 
1982年発表。前作「Exit」でやり尽くしたか、ここあたりからテンションが降下しはじめる。フローゼの継続的なソロ活動、意欲的なライブ活動、膨大な数にのぼるサウンド・トラック制作により習得したものを、各自持ち寄って集成する、もしくは新機材の可能性を錬金術的な密室作業により追求し、その成果の発表というのでもなく、スタジオワークならではの凝った音造がのぞめない。果てしなく続く機材との格闘に疲れが見えたのか。

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Poland The Warsaw Concert

German Rock

Tangerine Dream, Edgar Froese

td-poland.pngPoland 
1983年12月10日、ポーランドはワルシャワでのライブ・アクト。ヴァージンから離れ、ジャイヴ・エレクトロなる新興レーベルに移籍後の、第1作目にしていきなり2LP(1CD)という物量だ。

以前から積極的に東欧でのライブを試みていたせいか、写真でみるかぎり客の入りもよい。ポーランド領の湾岸都市グダニスクからはるばるファンクラブまでかけつけていることがインナースリーヴからうかがい知れる。

一部シングルカットされて、当時変形レコードが出回ったが、我が国では「ワルシャワ・イン・ザ・サン」というタイトルで12インチシングルとしてリリースされた。帯のコピーは「つれづれに、アバンギャルドな夢をみる。寒い国からとどけられた夢幻ライヴ」。ワルシャワの冬は確かに寒い。ライブ当日もおそらく氷点下まで冷えこんだことであろう。

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Epsilon In Malaysian Pale

German Rock

Tangerine Dream, Edgar Froese

malaysian.pngエドガー・フローゼのソロ全作品中、もっとも入手困難でありながら(*1)、もっとも愛されている作品、それが「イプシロン・イン・マレーシアン・ペイル~青ざめた虚像」である。

本作が発表された75年は、タンジェリン・ドリームがバンドとしての絶頂期をむかえたころだ。1月に5th「ルビコン」、10月にはライブアルバムである6th「リコシェ」を制作し、ロック・ミュージックの世界に決定的な足跡を残した時期である。

同年、6~7月にかけて制作されたソロ2作目「イプシロン~」は、これら傑作群に劣らぬどころか、幽玄美という点ではむしろぬきんでている。この静謐(せいひつ)さの前には、いかなる批評も虚しい試みに感じられてしまうであろう。

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