孤高のカスタム・シンセ
中学のころタンジェリン・ドリームの「EXIT」をはじめて聴いたときまず思ったのは、「音そのものがなんか違う」だった。クラフトワークでもYMOでもない、タンジェリンでしか味わえない音。それがカスタム・シンセ「PPG」に依るところ大だったと知ったのはインターネット時代になってから。30年前すでにPPGを操っていたのは、おそらくタンジェリン・ドリームだけだったのではないか
TDとウォルフガング・パームが共同開発した「PPG」は、デジタル音源をアナログフィルターで操作するという独創的なハイブリッド構成らしく、音もそれに劣らず特異なもの。個性の強いヴィンテージ・シンセ群にあってもなお異彩をはなっている。アルバムでは1979年「Force majeure」、フローゼのソロでは「Stantman」からすでに導入されていたらしいが、1983-4年ごろに「PPG WAVE」として製品化されるまで、ユーザーはTDとほんの一部だけではなかったかとおもう
実際に彼らがどう使っていたのか。You Tubeの映像がヒントになりそうだ。
1981年ということはEXIT発表の時期と重なっている。イントロでいじっている「青い獣」がPPGであろう。この金属質かつインダストリアルともいえる音響には、彼の好むOberheim(上)にはないキレとエグさが確かにある。ヴィンテージ・シンセの情報サイト「proun.net」によると、PPG waveには高音部分にエイリアシングノイズが乗る特性?があるそうだ。
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