regina astris
ディスクユニオンで"編成"買いした一枚。ギター、タブラ、コントラバス、ヴァイオリン、サックス...とくればやはりアメリカのオレゴン的なエスニック・プログレ・ジャズを期待してしまう。はたして音は想像をはるかに上回るものだった。
オレゴンよりも地中海〜中近東色が濃く、冒頭からサントゥールが半ば脅迫的に空間を支配する。全曲フランス人であるAndre Fertierのペンによるもので、どれもゴツゴツした男の体躯を思わせる骨太でドライなエスニック・サウンドだ。タイプは違うが、質感ではヴァンゲリスの「Eeath」に近いといえばわかってもらえるだろうか。
B面ではオーボエ(ソプラノ・サックス?)が加わることもあって、一気にサード・イヤー・バンド化する。Mahmoud Tabrizizadehのヴァイオリンがまた妙技というか、魔的な香りを充満させており、「妖刀の切れ味」と謳われたズビグニェフ・ザイフェルト参加によるオレゴンの「Violin 」が好きな方にはたまらないだろう。
Andre Fertier :guitare-clavier
Patricio Villaruel :tablas
Armand Lemal :perucssion
Jean Pierre de Barba :saxophones
Claude Duhaut :contrebasse
Mahmoud Tabrizizadeh :violon-santour
ANDRE FERTIERは、これまで4枚のアルバムを残している(らしい)。
ANDRE FERTIER & CLIVAGE: 「regina astris」 RCA 37024, GRATTE CIEL 2003 '76
Morange & Fertier: 「Love Spirale」 GRATTE CIEL 2008 '78
ANDRE FERTIER & CLIVAGE: 「mixtus orbis」 GRATTE CIEL 2009 '78
ANDRE FERTIER & CLIVAGE: 「andre fertier & clivage」'83
本作のリプリント盤(GRATTE CIEL)にはアルバム・タイトルがどこにも入っておらず、今回書いていてはじめてわかった。
2nd「mixtus orbis」は、なんとフル・オーケストラを加えたバルトーク的骨太プログレとなっている。
全作品のCD化を切に望む。
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