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デザイナー色を好む 第二回目

色彩心理学

世界の誰にでも共通する色彩のイメージがあるはずだ、というコンセプトで研究している人たちがいます。心理学者のユングは、人類に共通する記憶をアーキタイプと呼びましたが、色彩にもそれがあるというわけです。色彩に対するイメージは大人になるにしたがって経験や体験がからんでくるため、アーキタイプなんてものはないという印象を受けますが、子供たちはまだ色彩の経験は少ないため、心象風景が色彩に出やすいのです。子ども心を忘れない芸術家も、心象風景がでやすいものです。(ムンク、ピカソ)

 言葉と違い、意識のガードをするりと通り抜ける色彩というものは、無意識の世界にノーガードで入りこむことができるため、購買欲をそそらせるとか、政治行動の挑発にも使われます。照明による「演色」もその例です。デザインが資本主義と結び付いたのは、大衆の操作に都合がよいからです。

赤は生命力のシンボル

みなさんは赤に対してどんなイメージをもっているでしょうか。

赤は火の色、血の色、熱、生命力、活動・運動の色です。赤いハイヒールをはいている女性はいつも外出している行動的な人なんだそうです。車を買う時に赤を選ぶ人は、いろいろ動き回る、活動的な自分に期待して赤を選ぶのです。

 日本では「赤るい=明るい」の意味があり、真っ赤なウソ、赤裸々というのは明らかな、あからさまなという意味になりますね。

赤と黒の組み合わせは、心理学的には母親への愛をあらわすそうです。政治的にはナチスや共産党が使うことで政治活動を鼓舞するはたらきがありますし、生と死というコントラストではシェイクスピアの作品でも赤と黒がいちばん多いそうです。赤は遠くから見ても一番認識しやすい色で、企業のマークやロゴ、看板などにもいろいろ使われています。郵便ポストもそうですね。中吊り広告の見出し、チラシなんかでも多く使われます。これらは遠くからでも認識しやすい色だからです。

黄色は温かさ、やさしさ、幼児性、あまえ、食べ物、豊饒のシンボル

小学生の帽子とか、服でも黄色を使ったものがおおい。逆に、大人の人が着るには、かなり無理がある色です。食い物では、マーガリンの話というのがありまして、マーガリンが最初に売り出された時は、白だったそうですが、全然売れませんでした。それでちょっと黄色をまぜてみたら、今度は売りに売れたそうです。

 黄色は幼児性=甘えのシンボルでもあります。その点で「幸せの黄色いハンカチ」は、「自分は甘えん坊です。抱きしめてください」といってるようなもんです。

 中国では黄色は帝の色で、一般人は使ってはいけない色でした。だからもし黄色をつかったら、自動的に逆賊のシンボルにもなるわけです(黄巾の乱)。

紫は厭世観

青や紫を好む人は精神的な世界に興味があり、赤や褐色など暖色を選ぶ人は物資欲、現世での成功などに興味がある人が多い。暖色である茶色や橙などは食べ物の色でもありますから、食欲ももちろん旺盛ですね。紫は内出血の色など、病気や死を暗示するイメージがある。紫が好きな人は、自殺願望、厭世観の強い人。消毒の色。「紫の煙」のジミヘンは28歳で死にました。

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ピカソ:青の時代と薔薇の時代は彼の心理状況が色に反映されたわかりやすい例

ライブはなぜ暗く(黒く)するか

自分に閉じこもる色・知的な印象。死の色。黒の服を着たり、髪を伸ばして顔をかくしたい、闇にまぎれて自分をみえなくしたいという願望がある。ライブでなぜ暗くするのかというと、自分が他人からみえなくなるので安心できるから。

青二才の「緑」

緑はあまり好かれない色です。科学戦隊ゴレンジャーというやつでも、ミドレンジャーはほとんど人気がないし、キャラクターづくりができないのです。緑といえば植物ですね。静かで、動かないもの、といったイメージがあります。疲労の色でもあり、「顔が青い」というのは西洋では「緑色」に近いという話もあります。青二才、青臭い、けつが青いとかは緑色、若葉マークのことですね。活動的な赤にたいして、緑は動かない、疲れた状態といえます。エコ=グリーンという短絡的な配色はそろそろ見飽きていませんか?

クールな青

青といったら、空の色、海の色。水の色。涼しい、冷たさ、寒色です。憂鬱の色でもあります。だから夏向けの商品の広告は青を使ったものが多いのです。

 心理的にはクールさ、頭を冷やし、自己抑制のきいた色です。全世界共通で男性に好まれる色らしく、スーツの青は、自分を押さえ、忠誠を誓う色でもありますから、リクルートスーツでも人気があります。

 シェイクスピアの「テンペスト」という作品はデレク・ジャーマンとピーター・グリーナウェイという監督がそれぞれ制作していますが、どちらも全体をとおして青色が印象的です。逆にロマンポランスキーが監督した「マクベス」では血の色が印象的です。(つづく)

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