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ぼくのドクター

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23日のバンダポロロッカ・ライブイベントに行くボッサミーゴのみなさんへ。

先日のブログで肺炎になったこと、参加がかなり厳しいかもとお伝えしましたが、昨日の回診でドクターT女史にきいたら「いいんじゃな〜い」とのことでした。

さらに今朝の回診では「こっちは出す気満々だ」「薬でしっかり武装して出してやるからマスク二重にしてどんどん行ってこい」といわれました。

とはいえ風邪ひきの多い今の時期に自ら群衆のなかにダイブするのはかなりリスキーなのでボサミーゴのみんなと話しあいリハーサルと第一部のみ参加、もしゴホゴホしているお客さんがいたらお暇するということに決めました。

ぼくのドクターは外出外泊に関してはほんとうに太っ腹で、患者がどうしてもこの日はこれをやりたい、というとそれに合わせて治療プランを立ててくれる。実はもう9月の段階で12月1日のキケ・シネシライブに照準を合わせて抗ガン剤のプランも話し合っていた。

先生がいつも口にするのは、「わたしが興味があるのはその患者さんが生きているかどうかではない。自分のやりたいことをできているかどうかだ」

「70過ぎた白血病のおじいちゃんでも治療を続けながら農作業やってる人だっている」

だから再発して生きがいを失い、あとは死ぬだけだと目も虚ろだったころのぼくにも「本を書かないか」とか「点取り占いの弘大バージョンやらないの?」とか、お菓子くれたりDVDや本を貸してくれたりと、医師と患者というより、常にニンゲンとして相対してくれた。

それからびっくりしたのは「検査データより患者本人の表情やリアクションをみて追加の検査が必要か、薬の処方をするかどうか決める」ということだった。先生はいつもご自分のことを「昔の医者だ」というのであるが、検査データしか見ず、なにかといえばすぐエビデンスを連呼する医者が多いなかで、彼女の眼はつねに患者にまっすぐ注がれている。

ぼくが失神して頭打って出血して床に倒れていたときも、その場にいあわせた看護師は血圧測ったりバイタルをチェックするのみで「大丈夫」の一言さえ言ってくれなかったが、ぼくの先生は黙って手を握ってくれていたのをうっすらと記憶している。

これはおそらく彼女の師匠であるT先生からの薫陶であろう。

このT先生もユーモアがある方で、T女史からきいた話では朝の回診のとき患者の足の指にいたずらして飴や小銭をはさんでいったり「ちゃんと親孝行しているか」と声がけしたり、実に人間味あふれる先生だそうである。

ぼくもお話したいのだが、今は後進を育てる立場で回診のときも若い医師を見守っているだけであまりお話できる機会がない。

でもまえに若くて超かわいい研修医が血液の検査データを一桁間違えて出しちゃったときに、ぼくが「かわいいからOKです」といったらT先生が「それは納得できねえ」とボソッと言い残して立ち去っていったことがあった。

というか、T女史も院内ではすでに指導者側の方なので、今では患者さんを受け持つことはまず滅多にない。それなのに県病で希望を失い死に体同然だったぼくのブログをいつも読んでくれていて、Twitterで「私が診るから弘前に来い」と先生のほうから声をかけてくれたのだった。

思い起こせば6年前、急性骨髄性白血病の告知をこの大学病院で受けたとき、「医師としては勧めないが、ニンゲンとして移植を勧める」といって県病に送り出してくれたのもT女史である。

このときは意味がよくわからなかったのであるが、患者に大変な苦痛を強いる骨髄移植という荒療治を先生は患者さんにやらせたくないんだなと近ごろよくわかった。

大学病院は教育機関でもあるから一人の患者さんを一人の医師が診るのではなく、チーム全員で診る。だからぼくが「どうしても23日行きたい!」とワガママをいうとチーム全員が薬の処方や輸血の手配など陰で支えてくれているのである。

入院当初は回診のとき先生がゾロゾロやってきていやだなーと思ってたけど、今では逆に安心の源になっている。ブログにはいつもそのときそのときの本音を書くことにしているから、自分の気持ちもどんどん変わっているのだとおもう。

再発したこと、県病を離れたことで病気や医療にたいするぼくの態度は大きく変わった。それは先生との再会なくしてはなかったとおもう。もう苦しい思いをして県病でひとりぼっちで治療に耐えなくてもいいんだと思うだけで心がやすらかになるのである。

でも水曜日の部長回診だけはやっぱり苦手だ。

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