バルバラ・ベルクハン著 『ムカつく相手を一発で黙らせるオトナの対話術 』阪急コミュニケーションズ
私は復習や報復をすすめません。絶対に。たとえ婉曲にする場合でも。でもそれは、ひょっとしてあなたが思っているかもしれない理由からではありません。道徳的な理由でもないし、あなたが善良であるべきだと思っているからでもないのです。
それはカルマのためです。と言っても、仏教やヒンズー教でいう、あのカルマでありません。私が言うのは、いわばインスタント・カルマとでもいうものです。これはすぐに結果が現れます。今週、来週、来年にでも結果がわかる。そういうカルマです。このインスタント・カルマにあなたはすぐに気づきます。原理はごく簡単です。「あなたのしたことは、あなたについてまわる」
あなたの世界を作っているもの
具体例をひとつ。だれかがあなたを裏切ったとします。...さて、あなたは仕返しをしてやろうと心に決めます。...たとえばいっしょにやるはずの仕事を断る、まわりに悪評を振りまく、税務署に密告する(もちろん匿名で)。...
こうしてあなたは恨みを晴らそうとします。ひょっとすると、その直後はいくらかせいせいするかもしれません。けれども、事はとうていそれで終わりません。いや、ここからが本番です。インスタント・カルマがあなたの襟首を掴みます。
...あなたが人に報復をすれば、それは、あなたが報復の効果を信じていると認めることになるからです。あなたの世界では、いまや「効果のある報復」が存在します。...あなたの人生に報復をを持ちこむことができるのです。
...つまり、自分がだれかに仕返しすると、他人も同じことをするのではないかという不安を抱くようになるのです。そのときから、あなたには気味の悪い同伴者がくっついてきます。それは、人にこっそりと傷つけられるのではないかという恐れです。
そう、私たちはいつも自分を基準にして他人を推し量るのです。
私がやるんだから人もやるだろう
いろいろ具合の悪いことが起きます。パソコンが壊れる、車に傷をつけられる、自転車が盗まれる、携帯がなくなる、ポストに変な手紙が入っている、無言電話がかかってくる。いまや、これらのすべての背後に敵がいるような気がします。何かが上手くいかないと、だれがやっているのかと考え始めます。
これは一種の妄想なのです。これこそがインスタント・カルマです。他人が自分とおなじように行動すること考えることで、あなたは仕返しをした代償を払っているのです。
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