ドトールの新メニュー「贅沢ミラノサンドローストビーフ〜特製バルサミコソース」を注文たら、「チェブラーシカクリアファイル(A5版)」もらった。というかこのために注文。バルサミコ酢が口内炎を直撃し眉間を寄せるも頬はゆるみまくりである。こんなとき人はいったいどんな顔になっているのだろう。
「チェブラーシカ」は1969年ソビエト生まれの実写アニメ。南国からオレンジに混入して極北送りにされ、壊れた電話ボックスに住まいするという、うら哀しい設定である。第一話の登場シーンでいくら体を起こしてもバタリと倒れるので「チェブラーシカ(ばったり倒れ屋さん)」と命名されている。かつてこれほど貧弱・孤独感にあふれたキャラがあったろうか。ドトールの庶民シック、独り居感にこれほどぴったりのキャラは他にあるまい。
クリアファイルといっしょに受け取ったのは「DOUTOR It's My Times Vol.1」という小冊子。ドトールが新たにはじめたキャンペーンらしい。表紙はELTの持田香織さんで、著名人それぞれがドトール愛を熱く語っている。とくに見開きで持田香織が語る「レタスドッグ」のくだりがいい。
...特にレタスドッグは私の元気の源! 一時期メニューから消えてしまったときはショックのあまり電話してしまいました。『なんでなくなっちゃったんですか? 待っている人がたくさんいますよ』って......。復活したときは、本当にうれしかったですね
このレタスドッグがなくなった時期というのは、おそらく2008年後半あたりではないかとおもう。2009年3月の「ドトールで浮かぶ人」にレタスドッグ再登場のポスターを見たとぼくも書いているから。この復活劇の影には持田香織の地下活動があったのだ。
ブックディレクターの幅允孝は「ドトールの気持ちよさは、通いなれた銭湯に似ています」とうまい言い回しをしている。モデルのSAKURAさんはリセットスポットとしてのドトールを説く。
完全にスイッチを切ってしまうとフットワークが鈍るので、オンのなかでこまめに気分転換するようにしています。落ち着いて過ごせる空間をあちこちに作っておいて疲れを感じたらそこに駆け込む、という感じかな
「がんばる人のがんばらない時間」というコピーどおり、結局ドトールの売りを荘子風にいえば「無用の用」であり、寺田寅彦にいわせれば「コーヒーを飲むためにコーヒーを飲むのではない」(コーヒー哲学序説)ということになるであろう。15分たらずの価値ある無駄。これをドトールは「D-Time」と命名しているがあまり流行りそうにない。
前に「15分=1コマ」とブログに書いたが、今ちょうど齋藤孝さんの新著『15分あれば喫茶店(カフェ)に入りなさい 』を付せんだらけにしながら読んでいる。茜町のCOCO'Sに身を置かないとひとつもアイデアが浮かばないぼくのようなニンゲンには思わず小膝を打つ文章ばかりだ。こんど抜き書きしたいとおもう。
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