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ハードルを下げると高く飛べる

点滴なくても調子にのるな

アウトプットを増やすこつ。生産性をあげるこつ。ハードルを下げる。つまり自分への期待値を下げる。

いつまでたってもできないことは、自分でハードルを無意識のうちに高く設定してしまっていることが多い。その理由は、あらかじめできない設定にすることで、やらない後ろめたさから体よく逃げることができるから。しかも自分の好きなものというのは、自分に求めるレベルもいきおい高くなりがち。思い入れのあるものほどなかなか手がつかないというのはたいていこの論理にはまっている。

久しぶりに運動するとすぐ息が上がって体力の衰えを実感するように、最初は自分の思っているイメージどおりに頭も体も動かない。自分のイメージする自分はもっと動けるはずなのに動けない。頭のなかのハードルが高すぎたのである。

どうすればこの悪循環からぬけだし、やりたいことができるようになるか。目標を下げるのではなく、期待値を下げる。自分への期待値を下げれば、目標を下げずにやりたいことをやる習慣がつく。

期待値を下げるにはどうするか。自分がよしと思う設定の3割からはじめる。イメージしている3割ほど達成できればまずはよしとすること。

400字詰め原稿用紙一枚を毎日書くぞと思ってもなかなか書けない。しかし3割の120字ならばほぼTwitterの文字数になる。これだったら書けるかもという気になる。

Twitterで毎日120字書くと一年で4万字超。400字詰めの原稿用紙だと100枚以上。いきなり100枚書きなさいと言われても筆が固まってしまうが、結果的には長文が書けたということになる。そうして毎日書き続けるうちに120字の枠など頭から消え、字数のとらわれなしに書きたいように書けるようになっている。期待値を下げることで目標をいつのまにか達成していたのである。

自分の演奏をレコーディングして誰かに聞いてほしいとする。3分の曲だと最初の1分だけまずは録音してみる。30秒でもいい。これだけでいろんな発見がある。演奏中は気づかなかったおかしなところ、いいなと思うところなど。だんだんおもしろくなって、続きを練習しようという気になる。次の1分、ラストの1分と録音してさらに聞いて、ということを繰り返しているうちに1曲分の録音ができあがる。

それを他人に聞いてもらい、いろんなレスポンスをもらうと達成感があるし、もっと練習しようという気になる。だから30秒でもいいからまずは録ってしまうこと。

カントールの集合論を基礎に現代数学のパラダイスをつくろうとした数学者のヒルベルトは論文をとにかくよく書いたヒトだった。しかもミスを承知で書いていた。ほかの学者がミスを指摘してくれることを当てにしてとにかくアウトプットをつづけた。

青森県浪岡の画家、常田健は生涯で一枚も絵を売らなかった。すべて未完であるとして死ぬまで筆を入れ続けていた。

そもそも完成などありえないのだ。すべては未完に終わるのだ。宮沢賢治風にいえば「永遠の未完成これ完成」。そう割り切ってどんどん発表する。これがアウトプットの核心である。

シゴトで忙しいときでも一日15分、絵を描いたり散歩したり楽器を弾くというのは期待値さえ下げればかならずできる。アウトプットもかならず生まれてくる。

人生も三割でよし、とすれば何でもやりたいことを15分でもやったもの勝ちということ。

今日のところはこれでよし

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