口腔粘膜炎で酒が飲めなくなってわかったこと。「飲みたくても飲めないニンゲンにとって飲み会は拷問」ということ。
忘年会などでどうしても居酒屋に行かねばならないときがあるとする。サケを飲めないニンゲンはサケ以外のものを飲むことになる。しかし居酒屋のソフトドリンクメニューにはせいぜいウーロンだのグレープフルーツジュースだのお定まりの貧しい品目しかない。幹事さんに「飲み放題だからどんどん頼んで」と得意げにいわれてもウーロンを浴びるようには飲めないし飲みたくない。
ほかのニンゲンたちは「とりあえず生三つ」とかまあ凡庸に開始して中盤、ショーチューや日本酒やワインをゴーゴどあびて宴たけなわになると上機嫌の酔っぱらいが喉を枯らして持論を蕩々と述べるのであるが、飲めないニンゲンはシラフのままなのでひたすら聞き役に徹するほかなく、それがさらに酔っぱらいの気をよくしてさらに饒舌にするという無限地獄となる。
じゃあ飲めないぶん食って元とったれと気持ちを切り替えても口腔粘膜炎の痛みで食えるものがほとんどない。それでお会計は割り勘でといわれてもすごい大損気分で帰ることになるから正直いっていま飲み会は行きたくないし、誘われても行かない。そもそも口が痛くて喋るのもつらいんだから。
もしどうしても飲み屋に行かねばならぬのなら、コーヒー飲めるところがいい。相手はサケ飲めるし、こっちはコーヒー飲めるから。だから居酒屋よりカフェのほうが好き。弘前だとTubelaneとか、ジルチとか、キオラとか。深夜までやっててカプチーノやアイスクリームをおいてるところがいい。
コーヒー飲みたい。エスプレッソの濃いの飲みたい。カップの底に黒い沈殿物が残るようなドロっとしたのをブラックで飲みたい。
ビール飲みたい。生エビス、生モルツ、ハートランドをジョッキでコクコク飲みたい。
赤ワイン飲みたい。カベルネ飲みたい。チーズとパンだけで飲みたい。
飲めないものを並べあげてみたところで飲める見こみもないし、酒にいたってはもう頭から消えかけている。でもたまに友だちとサシで飲みに行ったりして、相手が上機嫌でジョッキを仰いでいるのを見ると無性に腹が立つ。それでワインやショーチューを勢いでオーダーしたりするのだが、たった一口で痛みに悶絶して結局相手に差しだすことになる。
だから世の居酒屋に告ぐ。いつまでもウーロン茶とりんごジュースでいけると思うなかれ。なぜノンアルコールビールがファミレスでも人気かよく考えてみよ。車のオトウサン、子ども、病人でも飲めるものを充実せよ。大手ファミレスにつぶされないために。せめてコーヒーおいてくれ以上。
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