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亡父ノート5 男の設計図1

男の設計図イメージ

今回は「男の設計図」という小見出しのついたカードから抜き書きしておこうと思う。

40代=サラリーマンの高校3年生

老後を含めた生涯計画の進路を再確認し、自己実現のため全能力を再編成する「サラリーマンの高校3年生」

理由
  1. 社内での到達可能なゴールの見当がつく(45歳では確定的→昇進4人に一人)
  2. トップマネジメントの定員は限定(地位の保証は遠のく)
  3. 従って定年後も含めて、進路・目標の多様化は当然

この時期を逃し、完全にメドのついた50代での軌道修正は事実上、無理

いまさら短所改善をしてもアブハチトラズ、オール5指向は返ってマイナス
中年サラリーマンにとって、生き残るための能力再編成→天職の鮮明化は至上命令

だからこそ今やるべきことは

  1. 第一志望・第二志望を現実的なものにしぼる(進路によって、能力開発の重点がちがう)
  2. 自分の得手・不得手を点検すること
  3. 得手を生かしたスペシャリティの総仕上げをすること

疑いの混乱の時期

長島・王=野球選手になるために生まれてきたような男といわれる。職業特性が20歳前に自然に発芽している
我々=職業特性が発芽しない、あるいは解らないままにとりあえずサラリーマンになった。だから、就職から定年までの間に、何度か疑いと混乱の時期があり

自分の職業的適性とはなんだろう
結局、自分の天職は何なのだろう

といった自問自答があって当たり前ではないか

narahisao、自分は一体何者か
40の坂を越えて、お前はどこに行こうとしているのか

タイトルの「男の設計図」というのは、小川俊一さんの著書「40歳・男の設計図 知的職人のすすめ  」ダイヤモンド社のことであろう。蔵書から取り出して見返しを開いてみると「昭和53年5月読了」と父の筆がみえる。さらに「まえがき」に目をやると、数カ所に赤ボールペンで線引きがしてある。

...今、その私は四三歳、息子は十二歳である。B29や焼い弾こそないが、父の気持ちがはっきり理解できる年齢になった。戦後最大の不況と雇用不安、輸入攻勢や円高に代表される外圧プレッシャー--そうした環境の激変の中で、私もまた父のように、一家を背負って四十峠を越して行かなければならないからである。

父親が子供たちに残せるものは、男の「生きざま」しかないのではないかと私は思う。
この本で書きたかったのは、ビジネスマンの山路を行く私の「四十歳の生きざま」である。それをいずれ私の息子が読んで、何かの指針にしてくれる日が来るのではないか。そう思いながらこの本を書いた...

これを読んでハッと気づいた。「私は四三歳、息子は十二歳」とはまさに、昭和53年当時の、わが家のことである。なぜ今まで気がつかなかったのか。

父の遺したカードは、父が自分だけのために、自分の生きがい発見のために書いたものだとばかり思って抜き書きしてきた。しかしもしかすると息子、つまりぼくのために意図的に書きためたのではないか。

そういえば前から妙に感じていたことがある。父は当時の稚拙な放射線治療を、よりによって顔面照射され、耐え難い頭痛に毎日ヒイヒイ泣いていたと母に聞かされたことがある。最後は視力も思考力も奪われた父が、なぜここまでカッチリした、まるでデータベースのように整備されたカードを作らねばならなかったのか。

「決して 決して、今からでも遅くない」と再起に賭ける己のためというのはもちろん否定できないとしても、なにも末期ガンの身に鞭打ってまでここまで完全主義的に作りこむ必要が果たしてあったのだろうか。「まえがき」に書かれているように、そこには何か父親らしい、生きた証のようなものを遺さねばならぬという無意の意が働いたのかもしれぬ。

かつてダンテがそうであったように、人生の路半ばにして暗き森に迷い込んだ息子に、ポケットからいつでも取り出せる携帯コンパスのような、人生の小道具をひとつもたせてやりたいという親心があったといえば妄想にすぎるであろうか。

かつて間違いなくこの世に生きていた男の「背中」。父はそれを小さな紙片に写像せんと日々格闘していた...と白昼夢でもみたような心地になった。

バトンをわたす

今日も二度とこない大切な一日。生きてあることを感謝しながらゴハン食べたり、歯をみがいたり、便したりする。...

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